科学・テクノロジー
大全、というにはやや物足りないが・・・ : ベルギービール大全(本)
2008/6/17 丁三ベスト79レビュアー
ベルギービールの図鑑、である。
瓶とラベル、コースター、専用グラスを一セットにしてカラー図版で紹介している。とくに専用グラスにビールを注いだ写真がなんともうまそうで、ビール党にはたまらない。
本書で紹介されているのは150銘柄弱だが、ベルギービールの銘柄はなんと800種類もあるそうだ。筆者が普段飲んでいる銘柄は残念ながら掲載されていなかった。世界に7銘柄しか許されていないトラピストビールも紹介されているのは5銘柄。大全というにはやや物足りないが、そこは自分で探して、飲んで、この図鑑に追加していくとしよう。
なかなか楽しい本であった。
瓶とラベル、コースター、専用グラスを一セットにしてカラー図版で紹介している。とくに専用グラスにビールを注いだ写真がなんともうまそうで、ビール党にはたまらない。
本書で紹介されているのは150銘柄弱だが、ベルギービールの銘柄はなんと800種類もあるそうだ。筆者が普段飲んでいる銘柄は残念ながら掲載されていなかった。世界に7銘柄しか許されていないトラピストビールも紹介されているのは5銘柄。大全というにはやや物足りないが、そこは自分で探して、飲んで、この図鑑に追加していくとしよう。
なかなか楽しい本であった。
はじまりは期待されていなかった : 複雑系―生命現象から政治、経済までを統合する知の革命(本)
2008/6/15 voodootalkベスト8レビュアー
日本語版オリジナルは1996年6月30日。知の革命とも言える『複雑系』の生い立ちを綴った作品。筆者はワシントンD.C.在住のサイエンス・ジャーナリストで、ウィスコンシン大学で素粒子物理学の博士号を取得している。
読み出すと複雑系という学問の生い立ちは極めて阻害されていたことが分かる。しかし、今では生命現象から政治・経済すべてにこの考え方が導入されている。映画でも2004年1月23日リリースの『バタフライ・エフェクト』などはその理論を映像化した作品ともとれる。タイトルの『バタフライ・エフェクト』というのは所謂カオス理論の思考実験の一つで、『カオスな系では、初期条件のわずかな差が時間とともに拡大して、結果に大きな違いをもたらす』ということを詩的に表した表現だ。よく言う『風が吹けば桶屋が儲かる』のようなもので『北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる』や、『アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる』と言った表現がしばしば使われる。今や様々な事象がここでのサンタフェ研究所の理論なしでは説明しきれないのだ。
しかしながらこの本を読了する頃にはこの学問は未だ全体像を見いだし切れていない、と感じるのは僕だけだろうか。興味が尽きないテーマだけに今後の進展を知りたい。
読み出すと複雑系という学問の生い立ちは極めて阻害されていたことが分かる。しかし、今では生命現象から政治・経済すべてにこの考え方が導入されている。映画でも2004年1月23日リリースの『バタフライ・エフェクト』などはその理論を映像化した作品ともとれる。タイトルの『バタフライ・エフェクト』というのは所謂カオス理論の思考実験の一つで、『カオスな系では、初期条件のわずかな差が時間とともに拡大して、結果に大きな違いをもたらす』ということを詩的に表した表現だ。よく言う『風が吹けば桶屋が儲かる』のようなもので『北京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起こる』や、『アマゾンを舞う1匹の蝶の羽ばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる』と言った表現がしばしば使われる。今や様々な事象がここでのサンタフェ研究所の理論なしでは説明しきれないのだ。
しかしながらこの本を読了する頃にはこの学問は未だ全体像を見いだし切れていない、と感じるのは僕だけだろうか。興味が尽きないテーマだけに今後の進展を知りたい。
物理数学の副読本としてもオススメしたいですね! : 線型代数―Linear Algebra(本)
2008/5/5 ゴルゴ十三ベスト67レビュアー
私が学生の頃、線型代数の固有値分解(基底変換)の意味を理解するために参考にした本は「線型代数と固有値問題―スペクトル分解を中心に」(笠原晧司)、ジョルダン標準形を理解するために参考にした本は「ジョルダン標準形」(韓太舜, 伊理正夫)でした。今なら本書をお薦めできますね。高校数学(旧課程)の2x2行列の知識レベルから物理数学(微分方程式の解法 etc.)の理解に必要な知識レベルまで自然に引き上げてくれる好著だと思います。量子力学の習得には"ヒルベルト空間における基底変換・固有値分解"の概念を理解することが必須ですが、本書で基底変換の意味に通じておけば自然に入っていけると思います。(ヒルベルト空間の意味(例:関数空間における『点』と『距離』の概念)は他書(*)で補っておけば専門書に入っていけることでしょう) 本書のような線型代数学の基礎知識があれば、「現代の量子力学」(J.J.Sakurai)のブラ・ケットを使った議論展開は恐れるに及ばず。量子力学ネタに限らず、理工学生ならば興味を持つべき物理数学・数理工学ネタに細かく言及があり、自習用に参考文献まで挙げられている処も良いですね。
(*)「無限と連続―現代数学の展望」(遠山 啓)、「無限のなかの数学」(志賀 浩二)
(*)「無限と連続―現代数学の展望」(遠山 啓)、「無限のなかの数学」(志賀 浩二)
ミトコンドリアと核細胞が演じる共存と闘いの奇跡のドラマ : ミトコンドリアが進化を決めた(本)
2008/4/30 紫陽花ベスト57レビュアー
ミトコンドリアが進化に深く関与している点に光を当てた画期的な学究本。「ミトコンドリア=核細胞に後から入ってきた寄生体」と言う通念に反し、ミトコンドリアと原真核細胞の融合時期と真核細胞の誕生とはほぼ同時で、しかも真核細胞の誕生は生物史上一回しか起こらなかったと言う。これはミトコンドリアとの共生が真核細胞誕生の源泉となった事を強く示唆する。真核細胞の登場がその後の多細胞生物の多様な進化に繋がる事から、進化におけるミトコンドリアの重要性が分かる。
著者は、高酸素濃度時代のメタン生成菌と共生していた原ミトコンドリア(好気性細菌)の遺伝子移動が真核細胞の起源と考える。この後、ミトコンドリアがエネルギー供給源として、動的細胞骨格による形状変化、大型化、核形成、大量のDNA貯蔵、有性生殖、多細胞化等の真核生物の様式を司っている事が詳細に説明される。
特にATP通貨に関する化学浸透圧説(ミッチェル)の項は秀逸。呼吸と光合成と言う見かけの異なるエネルギー生成方式が一つに収斂する様が美しい。ここで言及される「プロトン勾配」が生命の起源にまで関係する。「プロトン勾配」は進化の制約(細胞の外膜)を打ち破る鍵でもある。固有の遺伝子を持つミトコンドリアが宿主細胞に内在する事により、エネルギー効率を落とす事なく細胞の大型化・複雑化が可能となり、獲物の捕食も可能になった。代謝率と生体時計の議論も面白い。また、アポトーシス(プログラム細胞死)に絡み、ミトコンドリアとガン・老化(死)との関連性、更に有性生殖の意義が詳細に議論される。まさにミトコンドリアと核細胞が演じる共存と闘いの奇跡のドラマである。
ミトコンドリア主体の進化のドラマをダイナミックに描いた知見溢れる啓蒙書。
著者は、高酸素濃度時代のメタン生成菌と共生していた原ミトコンドリア(好気性細菌)の遺伝子移動が真核細胞の起源と考える。この後、ミトコンドリアがエネルギー供給源として、動的細胞骨格による形状変化、大型化、核形成、大量のDNA貯蔵、有性生殖、多細胞化等の真核生物の様式を司っている事が詳細に説明される。
特にATP通貨に関する化学浸透圧説(ミッチェル)の項は秀逸。呼吸と光合成と言う見かけの異なるエネルギー生成方式が一つに収斂する様が美しい。ここで言及される「プロトン勾配」が生命の起源にまで関係する。「プロトン勾配」は進化の制約(細胞の外膜)を打ち破る鍵でもある。固有の遺伝子を持つミトコンドリアが宿主細胞に内在する事により、エネルギー効率を落とす事なく細胞の大型化・複雑化が可能となり、獲物の捕食も可能になった。代謝率と生体時計の議論も面白い。また、アポトーシス(プログラム細胞死)に絡み、ミトコンドリアとガン・老化(死)との関連性、更に有性生殖の意義が詳細に議論される。まさにミトコンドリアと核細胞が演じる共存と闘いの奇跡のドラマである。
ミトコンドリア主体の進化のドラマをダイナミックに描いた知見溢れる啓蒙書。
子どもの気持ちを本当に分かっているのか? と自問してしまう : 子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方(本)
2008/3/7 くろやぎベスト93レビュアー
日本人の書いたものではなく、生活習慣も子育て文化も違うアメリカ人の書いた本というのが気になりましたが、全く心配無用でした。
日本もアメリカも、親が子を思う気持ちは同じ。
子を思うあまり、よけいな口出しをしてしまうことも同じ。
子どもとのコミュニケーションに悩んでしまうのは、万国共通のようです。
著者が教えてくれる解決策は「子どもではなく、親が変わろう」ということです。
子どもの気持ちを否定していませんか?
気持ちを尊重してもらえないと、どう感じる?
読者に問いかけながら、子どもの気持ちになって考えることの大切さを諄々と語りかけてくれます。
つい親が口に出してしまいがちな小言や説教、エスカレートして罵倒する言葉やおどし文句を、著者は「役に立たない態度」と言い切ります。
そして、具体的な解決法として「子どもの協力を引き出す方法」「子どもの自立を養う方法」「子どもを役割から解放する技術」など、(ここだけはアメリカ人らしく)箇条書きで示してくれます。
あっ、これは気をつけなくちゃ、とか、あぁ、これは実践している、と自分の子育て経験と比べながら、腑に落ちる読書をさせてもらいました。
特に印象深かったのが、「罰の代わりに解決策を考えよう」です。
子どもに罰を与えても効果はありません。罰を受けた子どもは心を乱してしまい、自分のしたことを後悔するよりも受けた罰のことばかり考えます。子どもに本当の反省の心は起きてきません。
本書を読んで、
「大人になった自分は、
子どもの気持ちを本当に分かっているのか?」
と、自問してしまいました。
親になるということは、自分の子ども時代を思い出し、少年時代をもう一度経験するようなものかもしれません。
我が子と自分のコミュニケーションを見直し、自分を振り返るきっかけになる本でした。
日本もアメリカも、親が子を思う気持ちは同じ。
子を思うあまり、よけいな口出しをしてしまうことも同じ。
子どもとのコミュニケーションに悩んでしまうのは、万国共通のようです。
著者が教えてくれる解決策は「子どもではなく、親が変わろう」ということです。
子どもの気持ちを否定していませんか?
気持ちを尊重してもらえないと、どう感じる?
読者に問いかけながら、子どもの気持ちになって考えることの大切さを諄々と語りかけてくれます。
つい親が口に出してしまいがちな小言や説教、エスカレートして罵倒する言葉やおどし文句を、著者は「役に立たない態度」と言い切ります。
そして、具体的な解決法として「子どもの協力を引き出す方法」「子どもの自立を養う方法」「子どもを役割から解放する技術」など、(ここだけはアメリカ人らしく)箇条書きで示してくれます。
あっ、これは気をつけなくちゃ、とか、あぁ、これは実践している、と自分の子育て経験と比べながら、腑に落ちる読書をさせてもらいました。
特に印象深かったのが、「罰の代わりに解決策を考えよう」です。
子どもに罰を与えても効果はありません。罰を受けた子どもは心を乱してしまい、自分のしたことを後悔するよりも受けた罰のことばかり考えます。子どもに本当の反省の心は起きてきません。
本書を読んで、
「大人になった自分は、
子どもの気持ちを本当に分かっているのか?」
と、自問してしまいました。
親になるということは、自分の子ども時代を思い出し、少年時代をもう一度経験するようなものかもしれません。
我が子と自分のコミュニケーションを見直し、自分を振り返るきっかけになる本でした。
パンダへの愛 : パンダ通 (朝日新書 73) (朝日新書 73)(本)
2008/3/3 chatbrunベスト31レビュアー
長年パンダを愛し、研究されてきたという黒柳徹子さんと、初めて野生のパンダを撮影された岩合光昭さんによる、
パンダへの愛と、パンダにまつわるエピソードに溢れた本です。まず巻頭に、岩合さんによるカラー写真がたくさん付いています。
時にとてもかわいらしく、時に非常に人間臭い仕草を見せて写っているパンダたちは、まるで着ぐるみに演技をしてもらったのかと思うほど、
さまざまな表情をみせてくれています。本文はまず、パンダの縫いぐるみをパンダというものを知る以前からお持ちだった黒柳さんのエッセイ。
今のようにメディアが発達していない時代に長年、パンダ情報を集め、日本にパンダがやってくる前から関心を持続させていたそうです。
各地にパンダを訪ね、写真や情報をこつこつ集め、パンダ来日の際には上野に出迎えに行くなど、黒柳さんのパンダへの愛が感じられます。
岩合さんによるさらなるパンダ写真をはさんで後半は、黒柳さん・岩合さんの対談。一瞬どなたの発言かわからなくなるほど、
お二人ともパンダに詳しく、興味深い対談です。パンダはなぜかわいいのだろう、といったことから、
岩合さんの野生パンダ撮影にまつわるエピソード、意外な生態まで、幅広く語られています。
長年パンダを観察してこられたお二人ならではのエピソードが満載で、岩合さんによる写真も非常に良いです。和む一冊です。
パンダへの愛と、パンダにまつわるエピソードに溢れた本です。まず巻頭に、岩合さんによるカラー写真がたくさん付いています。
時にとてもかわいらしく、時に非常に人間臭い仕草を見せて写っているパンダたちは、まるで着ぐるみに演技をしてもらったのかと思うほど、
さまざまな表情をみせてくれています。本文はまず、パンダの縫いぐるみをパンダというものを知る以前からお持ちだった黒柳さんのエッセイ。
今のようにメディアが発達していない時代に長年、パンダ情報を集め、日本にパンダがやってくる前から関心を持続させていたそうです。
各地にパンダを訪ね、写真や情報をこつこつ集め、パンダ来日の際には上野に出迎えに行くなど、黒柳さんのパンダへの愛が感じられます。
岩合さんによるさらなるパンダ写真をはさんで後半は、黒柳さん・岩合さんの対談。一瞬どなたの発言かわからなくなるほど、
お二人ともパンダに詳しく、興味深い対談です。パンダはなぜかわいいのだろう、といったことから、
岩合さんの野生パンダ撮影にまつわるエピソード、意外な生態まで、幅広く語られています。
長年パンダを観察してこられたお二人ならではのエピソードが満載で、岩合さんによる写真も非常に良いです。和む一冊です。
6件中 1件から6件までを表示





