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アート・建築・デザイン

of all the theatres probably No makes the greatest demands on the audience : 能・文楽・歌舞伎 (講談社学術文庫)(本)

能・文楽・歌舞伎 (講談社学術文庫)
能・文楽・歌舞伎 (講談社学術文庫)(本)

ドナルド キーン,
発売日:2001/05

2008/6/1 recluseベスト66レビュアー

4点

実はまだ能の部分しか読んでいません。ただ素晴らしい作品です。能という日本の古典芸術の理解に外人の書いた解説書を読まなければいけないという現状には苦笑してしまいますが。もっと悲しいのは、no begins with a mask, and within the mask the presence of godで始まる英語の原文を読んだ方が、翻訳で読んだ場合より、もっと感銘を受けてしまうというこの逆説です。この見事な能の解説への導入を読んでください。きびきびした明晰な英語で、西欧演劇の共通のターミノロジーを使いながらその比較の射程を広げながら、しかも著者の情熱を伝える英文で、能への魅力へと読者を誘います。もう私のような古い日本人ですら、西欧から導入された分析の道具を借りずには、能を能として味わうことはできないほど、私たちは変質してしまったのかという疑問を投げかける作品でもあります?海外のギリシャ悲劇との比較という構図の中で提示された方がよりよく能に接近できるという発見は驚きでもあり幻滅でもあります。しかし、この作品の本質的な価値からはなれた部分で、個人の勝手な思い込みでコメントされるのは、著者にとっては心外でしょう。さて、見事な導入部に続き、その後は能の詳細な解説が展開されます。特にわかりやすいのは能と狂言の歴史です。そしてそこに留まることなく、能面、能楽師の養成、音楽、舞台装置、小道具へと解明は進められます。後半のディテールは素人の私にはついていけないほどです。もともとは外人向けに書かれた作品でしたが、日本人にとっても必携の作品となってしまったのは、作品の持つ不思議な意図しない運命です。
  3 人中、3 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

こんな写真論を待っていました!! : 新世代写真術―世界を拓くフォトグラファー (Next Creator Book) (Next Creator Book)(本)

2008/5/12 nyベスト19レビュアー

5点

写真が好きで、写真、カメラ、写真家、撮影テクニックなどさまざまな本を
読むのも楽しくて、これまで結構たくさん読んできた。

しかし、正直なところそれらの本で心から共感できた本は本当にわずかで、
結局本で写真に対する考え方(大げさにいえば表現哲学)なんぞ、学べる
なんてことはほとんどあり得ないと思っていた。

そんな私がこの本を手にとって、「これはずごい!」と思った。
確かに、クセがあってなかなか「礼儀正しい」本とはいえないが、そもそも
写真表現というのは、なんらか「伝えたい」という非日常的な気持ちの発露で
ある場合も多く、この本はそんな高ぶる感情に答えてくれる。

スマッシュヒット!な一冊です。
  2 人中、1 人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

最初に読んでみました : 能の物語 (講談社文芸文庫)(本)

能の物語 (講談社文芸文庫)
能の物語 (講談社文芸文庫)(本)

白洲 正子,
発売日:1995/07

2008/5/8 recluseベスト66レビュアー

4点

この年になりやっと能なるものを実際に見ることになりました。見た後に読んだのがこの作品でした。この作品は能の有名な名作を丁寧に解説しています。大部分は平家物語に関連の深い作品ですが、やはりここにこそ日本人の美意識の極致が凝縮されているからでしょうか。能自体は謡いの部分は音で聞いてもなかなか言葉を明確に把握することは難しいようです。視覚と想像力の自由な飛翔こそが能の理解には不可欠だと著者は指摘しますが、やはり、この作品を読んでそのエッセンスを前もって吸収しておくことが、その作業には必要でしょう。それぞれの作品について、実際の地名と登場人物、そして故事と歌の解説そして作品の本質が見事にまとめられています。間と省略がその本質である能の魅力が見事にまとめられた作品です。選ばれたどの作品も日本人の美意識の本質を読者に突きつけるものです。
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神戸の街が色鮮やかに計算された構図で収められています : KOBE浪漫―阪本紀生写真集(本)

KOBE浪漫―阪本紀生写真集
KOBE浪漫―阪本紀生写真集(本)

阪本 紀生,
発売日:2007/04

2008/5/4 nyベスト19レビュアー

5点

本当に美しい神戸の街の写真が詰まった1冊です。
さりげない写真ではなく、計算され考えられ時間を使ってここぞという瞬間を
狙ってとられたと思われるプロの写真だと感じます。色調がとてもきれいなの
も特徴です。

「神戸」をテーマとした写真はすでにたくさんあるわけですが、同じテーマで
も著者独自の取り方や構図、色遣いでとても新鮮に見せてくれます。とくに、
1章の「モダン神戸」で紹介されている建物は、神戸長く住んでいても気づか
ない風景もくさんあって「ここはいったいどこなんだろう」という驚きの連続
でした。

また、夕方から夜の写真が多いのも特徴です。神戸は夜景が美しいということ
で自然とそうなったのかもしれません。どうすればこんな光の写真が撮れるの
だろうと感心させられる作品がたくさんあります。

キャプションは非常に短く簡潔で、とにかく言葉で補うのではなく写真を見て
ほしいという姿勢を伝えているようでもあります。特徴的なのは、すべての
キャプションが日本語に加え、英語でもつけられていること。この写真集の
すべての日本語は「はじめに」から「著者略歴」まで、同等の英訳がつけられ
ています。

この写真集が作られた背景とか、著者自身のこと、その他のうんちく話などが
一切排されているのもおそらく著者の意志の現れなのではないかと思いました。
すべての写真は例外なくペンタックス645Nを使って撮られていることに
も気づきました。

きれいな写真集、神戸が再発見できる写真集です。著者の続編が出ればよいなあ
と思います。


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《ちょっとHな人間秘宝館》=“純ちゃん”の魅力てんこ盛り! : 適当男のカルタ 〜純次のことわざブック〜(本)

2008/5/3 しんのじベスト23レビュアー

4点

裏表紙で、タキシード着といていきなりの“ケツ出し”。
コレやって「あー、しょうがないなこの人は」と受け手を納得させてしまうところが、還暦を超えた“純ちゃん”のスゴさである。
さて、この本は、さまざまな「ことわざ」に“純ちゃん”ならではのアレンジを加え、それぞれにコメントや彼自身によるイラストを添え(表紙の題字をはじめ、書も“純ちゃん”によるもの)、五十音順に並べて載せてある。ほぼ全ページ、ビロウな方向で展開されているので、小学生以下のお子さまにはおすすめ致しかねる―よって☆は4つとした―ものの、写真も多く(撮りおろし&若き日の貴重なものも)、また、追憶の一場面をシリアス・モードで語るコーナーなどもあり、彼のファンには見逃せない。
“純ちゃん”の言ってることは適当なんだけど時に鋭いひとこともあり、編集もていねいで、好感の持てる一冊。
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絵画に隠された怖ろしい情念を解説する恐怖ツアーガイド : 怖い絵(本)

怖い絵
怖い絵(本)

中野京子,
発売日:2007/07/18

2008/5/3 くろやぎベスト93レビュアー

4点

 20枚のヨーロッパ絵画を取り上げ、主題や構図ばかりでなく、ひとつひとつの画題の奥に隠された怖ろしい情念を解説してくれる恐怖ツアーガイドです。

 まず、アマゾンのこのページの表紙写真をクリックしてアップでご覧ください。
 なんとも底意地悪そうな流し目の女性が描かれたこの作品は、17世紀フランスの画家ラ・トゥールの『いかさま師』の一部です。悪意そのものの眼差しは、たしかに不気味な怖ろしさを発散させていますが、これはまだ序の口にすぎません。

 著者の中野さんによると、16世紀に「寓意画」が流行しました。画家が難解で凝った寓意や擬人像を考案し、鑑賞者はその解読に挑戦するという知的遊戯が宮廷社会に広まったのです。

 絵画に込められるメッセージは、決して明るいものばかりではありません。
 本書に取り上げられた「怖い絵」には、人間の欲望の深さ、弱い者への攻撃性、残酷なしうち、はては殺人、人肉食、性的虐待、近親相姦、etc.
 おぞましいもののオンパレードです。

 中にはひと目見ただけで嫌悪を感じ、不安をかき立てるような絵画もあります。悪夢にうなされるかもしれないので、感受性が強すぎると自覚している方にはお勧めしません。

 とはいえ、怖いこわ〜いホラー映画に比べたら、急に脅かされたりすることもなく、みかけの恐怖度はそんなに高くありません。むしろ、本書の真骨頂は、みかけは何の変哲もない絵に隠されている背徳や悪意の兆候です。

 たとえば、『エトワール、または舞台の踊り子』というバレエダンサーを描いたドガの有名な1枚。この絵の片隅に描かれている人物が何を意味するかというと……。

 おお、こわっ!!

 ブリューゲルもボッティチェリも、当時の時代背景に従ってこわ〜い絵を描いていたことを教えてくれます。

 感動とは別の意味でゾクゾクすることを保証します。
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本書のもう一つの効用 プレゼンテーション作成の良い参考書になりうると思う : 映画技法のリテラシー〈2〉物語とクリティック(本)

映画技法のリテラシー〈2〉物語とクリティック
映画技法のリテラシー〈2〉物語とクリティック(本)

ルイス ジアネッティ,
発売日:2004/07

2008/5/2 nyベスト19レビュアー

4点

もともと映画をもっと楽しんで見られるようにと思って手にとって読みはじめた
のですが、読んでいるウチに全く別の利用法があることに気がつきました。

新しい考えを伝えたり、方向性を少し軌道修正するといった目的で行うプレゼン
テーションを一つの映画作品にたとえたとき、ここで語られているさまざまな視点
や技法がものすごく見通しをよくしてくれるのではないかと思えてきます。

とくに1巻よりこの2巻は、ドラマ、ストーリー、脚本、イデオロギー、理論など
といったテーマを取り上げており、プレゼンと言う目的においては2巻はヒントの
宝庫です。
プレゼンテーションのためにこんな分厚い映画のテキストを読む必要まであるのか
と思いますが、逆に表面的な「プレゼン速習術」と言った本を何冊も読んでも、こ
こに書かれているようなコトはまったく触れられていないので、ある意味では隠れ
た名著なのではないかと思えました。

このシーリーズ(というかこの出版社)の和訳がうまくないという評があちこちに
書かれています。いわゆる直訳の感じがして、機械で翻訳したような堅さと、用語
の統一がされていないなど、プロの仕事ではない翻訳なのは確かにそう思います。

しかし、文学作品ではないので、ここに書かれている情報を読み取ればそれでよい
と考えるならば、そんなに致命的なものではないし、前向きに考えれば、スラスラ
読めない分、注意しながら文章にあたれるのでこれはこれでよいのではないかと思
います。
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六本木の映画を見に行って : シネマの快楽 (河出文庫)(本)

シネマの快楽 (河出文庫)
シネマの快楽 (河出文庫)(本)

蓮實 重彦,武満 徹,
発売日:2001/05

2008/4/11 くにたち蟄居日記ベスト32レビュアー

5点

 自分の「顔」を持つ映画館が時として存在する。

 池袋の文芸座、銀座の並木座、吉祥寺のバウスシアター、神田の岩波ホールなど いくつも名前が出てくる。六本木にあったCINE VIVANTも そんな映画館の一つだった。

 文化戦略をとったセゾングループの映画での「顔」を担った その映画館は 優れた欧州映画を独自で発掘し 上映することで一世を風靡した。ノスタルジア、ラパロマ、エルスールなどの 目の覚めるような傑作を日本に紹介した功績は本当に大きかった。

 映画のパンフレットも脚本を収録するなど 非常に充実していた。中でも 蓮見と武満の対談は ある意味で 映画の門外漢であるお二人の 映画への愛に満ちたものであり 繰り返し読んだことを覚えている。そう あのパンフレットを持っているだけで 文化の香りを身にまとったような気がしたものだ。
 思えば スノッブな話だが。

 そんな二人の対談が本になっているのを見つけた。

 蓮見が その後 東大総長になるとは思わなかったし 武満は既に鬼籍に入られた。20年という年月を経て もう一度 お二人の「放談」を楽しんでいるところだ。
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またひとり、すぐれた書き手を見つけたことがうれしい : 名画の言い分―数百年の時を超えて、今、解き明かされる「秘められたメッセージ」(本)

2008/4/6 yukkiebeerNo.1レビュアー

5点


 著者はカリフォルニア大学バークレー校で美術史学士号を修得した西洋美術史家。
 本書は冒頭から読者にこう語りかけます。

 「美術は見るものではなく、読むものです」(2頁)。

 感動するかどうかといった感性のレベルで(近代以前の)西洋美術を見るというのは、美術を見たことにはならない。それは人間の感性などあてにならず、理性的であることに重きを置いた西洋文明の中で生まれた美術なのだから。
 それでは、西洋美術を駆動してきた政治や経済、宗教や社会の歴史をきちんと理解してもう一度なじみ深い美術作品を見つめなおしてみようというのが本書の狙いです。

 私は非常に大きな興奮とともに本書を読みました。

 美術の歴史もさることながら、高校の授業で習った、そして受験の手段として知識を暗記するにすぎなかった世界史の断片のあれやこれやが、美術史をみつめなおす中で輪郭線も鮮やかに私の中で有機的に結びついていくのが手に取るように感じられたのです。

 ドイツが主だった美術史に登場しないのは偶像崇拝を禁じたプロテスタント化によること。(一方で音楽による宗教表現は進んだ。)
 北方ルネサンスでは宗教美術の破壊に伴って風景画や静物画の発展が促されたこと。
 裕福な市民階級の台頭と(教養のない人でも)分かりやすい絵画の誕生が表裏一体であること。
 フランス革命以降に起こった共和制と帝政・王政との目まぐるしい政治体制の転換が、やがて既成概念を崩す印象派という新しい芸術家たちが生まれる素地を準備したこと。

 それ以外にも、ここにはとても書ききれないほどの事柄にいちいち膝をうちながら本書を読み続けました。

 「です・ます」調の丁寧で平易な文章にも助けられ、古代から近代にかけての美術史を楽しく概観できる一冊となっていました。

 著者にはぜひ、続編として20世紀以降の現代アートについても、楽しく知的な美術解体書を書いてほしいものです。
 
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用具からデザインまで : カリグラフィーQ&A―すべての疑問にズバリお答えします(本)

2008/3/26 chatbrunベスト31レビュアー

5点

タイトル通り、カリグラフィーに関するQ&A集です。元日本カリグラフィー協会会長の小田原先生が、様々な疑問に解答します。
取り上げられている質問は実にたくさんあります。ペンやインク、用紙などの用具、様々なペンやマーカーの紹介、
各種インクの特徴、ペンの使い方・持ち方・構え方、グラデーションの付け方などが写真つきで解説されています。
また、カードの装飾などに使えるリボンやお花の模様を、カリグラフィーのようにして平筆で描くやり方も詳説。
他にも、文字や模様のデザインやレイアウトの仕方、英文・仏文フレーズ集、様々な書体の書き方まで網羅。
カリグラフィーとはそもそもどんなものなのか、一体どのような道具を揃えれば良いのか、そして文字はどう書くのか、
カリグラフィーについてありとあらゆる事柄がわかる一冊です。何も知らない全くの初心者にも
わかりやすいように書かれた親切な書籍です。独学でやってみようかな、という方にも、既に習われている方にも有用と思います。
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