日本映画
レッドフォード&ポラックによる硬派サスペンスの傑作。祝、廉価化!! : コンドル (ユニバーサル・ザ・ベスト2008年第5弾)(DVD)
2008/6/23 hide-bonベスト65レビュアー
CIA特務機関、と言うと、いかにも悪辣で胡散くさいイメージが思い浮かぶ。しかし、今作の主人公が属しているのは、ミステリーからコミックまで世界中のあらゆる書物を読み漁り、その中に隠された敵対勢力の謀略、暗号の意味を解読するセクション、何とも緊張感のない知的遊戯な仕事。だが、ある雨の日、主人公がランチを買いに出かけた隙に何者かが侵入、課員が皆殺しにされてしまう。信頼していた“巨大組織”からも裏切られ、生き残った主人公の孤独な闘いが始まる。
見事な導入部、全編に蔓延するひりひりとした緊迫感、シャープでクリアな色調、クールな肌触り、そして紛れもなくジャーナリスチックな硬派精神、今回久しぶりに見直してみたけど、やっぱり良いよなぁ、このリズム。今見てもスゴク面白い。
当時最も俳優として充実したキャリアを歩んでいたレッドフォードと、先日惜しくも亡くなってしまったNYリベラル派の重鎮ポラックの名コンビによる70年代テイストに溢れるサスペンス映画の傑作。「フレンチコネクション」、「エクソシスト」、「サブウェイパニック」と、リアルなロー・ライティングで当時傑作を連打していた名手オーウェン・ロイズマンのカメラ、JAZZのコンポーザーとして有名だったデイヴ・グルーシンの音楽も素晴らしいが、特筆すべきは、元CIA職員にして雇われ殺し屋を演じたマックス・フォン・シドー。善悪を超越した冷徹さと達観した賢者の様なそのプロフェッショナルぶりに痺れる事必至だ。
サスペンスって言ったけど、レッドフォードがフェイ・ダナウェイと絡むシーンも見せ場あり。モノクロ写真とのカットバックを織り交ぜるラヴ・シーンは、いかにも70年代を感じさせますが(笑)。
見事な導入部、全編に蔓延するひりひりとした緊迫感、シャープでクリアな色調、クールな肌触り、そして紛れもなくジャーナリスチックな硬派精神、今回久しぶりに見直してみたけど、やっぱり良いよなぁ、このリズム。今見てもスゴク面白い。
当時最も俳優として充実したキャリアを歩んでいたレッドフォードと、先日惜しくも亡くなってしまったNYリベラル派の重鎮ポラックの名コンビによる70年代テイストに溢れるサスペンス映画の傑作。「フレンチコネクション」、「エクソシスト」、「サブウェイパニック」と、リアルなロー・ライティングで当時傑作を連打していた名手オーウェン・ロイズマンのカメラ、JAZZのコンポーザーとして有名だったデイヴ・グルーシンの音楽も素晴らしいが、特筆すべきは、元CIA職員にして雇われ殺し屋を演じたマックス・フォン・シドー。善悪を超越した冷徹さと達観した賢者の様なそのプロフェッショナルぶりに痺れる事必至だ。
サスペンスって言ったけど、レッドフォードがフェイ・ダナウェイと絡むシーンも見せ場あり。モノクロ写真とのカットバックを織り交ぜるラヴ・シーンは、いかにも70年代を感じさせますが(笑)。
濃厚なラブ・サスペンス、うねるような官能の深淵に酔わされる。 : ラスト、コーション スペシャルコレクターズエディション(DVD)
2008/6/2 hide-bonベスト65レビュアー
「ラスト、コーション」は、久しぶりに映画らしい映画として堂々たる風格を持った作品、2時間40分もの上映時間が少しも気にならない濃厚なラブ・サスペンス、うねるような官能の深淵に惑溺、酔わされる事必至の傑作だ。
日中戦争時の日本占領下、抗日運動に身を捧げた若き女性が、ある使命を帯びて、傀儡政権の要人に近づく。アン・リーの圧倒的演出力はもちろんだが、とにかく、主演2人の魅力に心奪われる。母国を売り、傀儡政権下で権力を握る猜疑心の強い冷徹なイー役のトニー・レオンの、非情ながら瞬時に見せる人間的な弱さと情感も見ものだが、政情が混沌とし、謀略と策動が打ち寄せる激動の時代の大きな渦に自らも加担しながら、いつの間にか愛欲と大義の狭間で翻弄されてしまう主人公ワンチアチー役を見事に演じきった新人女優タン・ウェイの、激しく切ない美しさが素晴らしい。ラストの、自らの運命を全て受け入れたかのような決然さに満ちたその顔立ちが、今も脳裏に焼きついて離れない。
決して、政治的でも、饒舌な映画でもない。劇中流れる優美で叙情的なワルツと、心掻き乱される旋律のテーマ曲に併せ、ただただ、物語の重要な節々で見せる登場人物たちの微細な表情が、感情の揺らめきを実にスリリングかつエモーショナルに表している。
話題になったハードコア描写も含め、正に映画的な刺激に溢れた作品、必見!
日中戦争時の日本占領下、抗日運動に身を捧げた若き女性が、ある使命を帯びて、傀儡政権の要人に近づく。アン・リーの圧倒的演出力はもちろんだが、とにかく、主演2人の魅力に心奪われる。母国を売り、傀儡政権下で権力を握る猜疑心の強い冷徹なイー役のトニー・レオンの、非情ながら瞬時に見せる人間的な弱さと情感も見ものだが、政情が混沌とし、謀略と策動が打ち寄せる激動の時代の大きな渦に自らも加担しながら、いつの間にか愛欲と大義の狭間で翻弄されてしまう主人公ワンチアチー役を見事に演じきった新人女優タン・ウェイの、激しく切ない美しさが素晴らしい。ラストの、自らの運命を全て受け入れたかのような決然さに満ちたその顔立ちが、今も脳裏に焼きついて離れない。
決して、政治的でも、饒舌な映画でもない。劇中流れる優美で叙情的なワルツと、心掻き乱される旋律のテーマ曲に併せ、ただただ、物語の重要な節々で見せる登場人物たちの微細な表情が、感情の揺らめきを実にスリリングかつエモーショナルに表している。
話題になったハードコア描写も含め、正に映画的な刺激に溢れた作品、必見!
作品そのものは、間違いなく☆5つ。商品としては、微妙に残念な部分も。 : 河童のクゥと夏休み コレクターズBOX(特別版本編+特典DVDの2枚組)【完全生産限定版】(DVD)
2008/5/30 しんのじベスト23レビュアー
合計で約3分の、日常の、見過ごしそうなちょっとした描写を追加し、約142分の長さとなった本編は、画質も良好。音声はステレオと5.1ch。グレーがかった文字で表示される日本語字幕のほか、原監督、作画監督の末吉氏、美術監督の中村氏、そして三留まゆみ氏による、かなりコアな内容の音声解説も搭載。
透明感のある、パッケージイラストもいい。
ただ、特典ディスクには、ちょっと不満がある。
PR番組「そうだ、遠野へ行こう!」(約24分)、パイロット映像(約7分)、カットされた未完成シーン集(約20分)、公開初日の舞台挨拶+トークショー映像(約28分)、予告編・スポットCM、といった収録内容なのだが、このうちトークショーに出ている(原監督ではない)人が、頓珍漢なことばかり言っているし、何度も『平成オトナ帝国』と言い間違えるし、ウザいことこの上ない。もう耐えられなくて、一度は途中で見るのを止めてしまったぐらいだ。これ、新文芸坐のクレしんオールナイトでもおなじみだったブラック師匠が出ていたら、もっとマシな展開になったんだろうけど、ホントに残念でしょうがない。こんなもの入れるぐらいだったら、本編の映像をうまく取り込んでいて、なかなかの感動作になっていた、主題歌「夏のしずく」のPVを収録してくれた方が、ナンボかマシだったのに、と思う。
一方、その分を取り返すような感じで、美術ボード集、三留氏の評論、そして原監督と浜野保樹氏による充実した対談―今回の本編ディスクで追加収録された、3分間をカットするか否かの、静かな“戦い”についても語られている。必読―とで構成された付属のブックレットは、なかなかがんばっていた。
というわけで、いろいろ足したり引いたりした結果、トータルで☆は4つ、とさせていただいたが、何にしてもこの映画、心に残る大傑作なので、未見の方はぜひ一度、ごらんいただきたい。
透明感のある、パッケージイラストもいい。
ただ、特典ディスクには、ちょっと不満がある。
PR番組「そうだ、遠野へ行こう!」(約24分)、パイロット映像(約7分)、カットされた未完成シーン集(約20分)、公開初日の舞台挨拶+トークショー映像(約28分)、予告編・スポットCM、といった収録内容なのだが、このうちトークショーに出ている(原監督ではない)人が、頓珍漢なことばかり言っているし、何度も『平成オトナ帝国』と言い間違えるし、ウザいことこの上ない。もう耐えられなくて、一度は途中で見るのを止めてしまったぐらいだ。これ、新文芸坐のクレしんオールナイトでもおなじみだったブラック師匠が出ていたら、もっとマシな展開になったんだろうけど、ホントに残念でしょうがない。こんなもの入れるぐらいだったら、本編の映像をうまく取り込んでいて、なかなかの感動作になっていた、主題歌「夏のしずく」のPVを収録してくれた方が、ナンボかマシだったのに、と思う。
一方、その分を取り返すような感じで、美術ボード集、三留氏の評論、そして原監督と浜野保樹氏による充実した対談―今回の本編ディスクで追加収録された、3分間をカットするか否かの、静かな“戦い”についても語られている。必読―とで構成された付属のブックレットは、なかなかがんばっていた。
というわけで、いろいろ足したり引いたりした結果、トータルで☆は4つ、とさせていただいたが、何にしてもこの映画、心に残る大傑作なので、未見の方はぜひ一度、ごらんいただきたい。
こんな映画が作られた時代もあったんですね : 卍(まんじ)(DVD)
2008/5/25 recluseベスト66レビュアー
濃いね。ここまで濃いとは驚きでした。映像の色といい、重苦しさといい、若尾文子の洋装の服装のけばけばしさといい、重苦しいほどです。シーンはほとんどが室内で、外のシーンはほとんど登場しません。そして独白をするのが岸田今日子と来ては異様な雰囲気は想像通りですが。原作でも指摘されている、両者の間で交換された手紙のけばけばしい装丁といい、実際見てみないとわからないものもたくさんありますね。「綿貫」という人物のいやらしさはどうも小説の上では実感できませんでしたが、川津祐介によって関西弁で熱演されることによりその実在感がましたようです。私にとってはこれほど関西弁が充満している映画は見たことがありませんが、識者の指摘によるとこれはどこにも存在しない独特の関西弁だそうです。となると谷崎のオリジナルなストーリーが関西弁という特異な媒体を必要としたのか、それとも関西弁という「特異」な世界がこのようなストーリを必要としたのか、興味深い論点を提示します。案外、ただのオリエンタル趣味だったのかも知れません。映画の進行は、原作に忠実にたどられています。時代は1964年の日本に翻案されていますが、必ずしも違和感は与えません。案外昭和39年の東京オリンピックまでは風俗の上では、大阪は戦前それも昭和初期の延長線上の臭いを強く残していたのかもしれません。
奥田瑛二、監督として頑張ってます : 風の外側(DVD)
2008/5/20 一色町民ベスト22レビュアー
主演はモデル出身の新人、佐々木崇雄と奥田監督の次女、安藤サクラ。山口県の下関を舞台に、お嬢様の女子高生とヤクザな青年が繰り広げるビターな純愛ストーリー。
ベタで強引な展開があったり、突っ込み所もありますが、序盤はけっこう面白かった。
ただ中盤以降、在日問題が出てきてからはなんだかストーリーが散漫になってしまった印象でした。単純に、ヤクザの青年とお嬢様女子高生の恋を描いた方が面白かったような気がします。
下関(人口の5%以上が在日の方)が舞台ということで、監督のインタビューによれば在日の問題はハズセなかったようですが、なんだか無理やり在日問題を入れたような感じで少々違和感がありました。
安藤サクラは、オペラの歌唱法に果敢に挑戦していて好感。お母さんの安藤和津にソックリだけど美人じゃないだよなぁ。(苦笑) でも、なかなか演技はうまくて良かったです。大竹しのぶや寺島しのぶみたいな路線でいけばいい、この先楽しみな女優の誕生ですね。
チンピラ役の佐々木崇雄は、いい雰囲気を持っているけど今回の役には合ってない感じ。「殺気」がどうも感じられない。
北村一輝や夏木マリはさすがの存在感で、彼ら登場すると画面が引き締まります。
奥田監督の前作「長い散歩」ほど心に響くものが無かったですが、秀作と言っていいと思います。
本作では敢えて大団円を用意せず、爽やかな青春映画路線を生真面目に狙った風で、それも良し。小説や特に漫画を原作にした映画ばかりの中、オリジナル脚本で勝負している奥田監督の姿勢、心意気に頭が下がるし今後も応援したいですね。
ベタで強引な展開があったり、突っ込み所もありますが、序盤はけっこう面白かった。
ただ中盤以降、在日問題が出てきてからはなんだかストーリーが散漫になってしまった印象でした。単純に、ヤクザの青年とお嬢様女子高生の恋を描いた方が面白かったような気がします。
下関(人口の5%以上が在日の方)が舞台ということで、監督のインタビューによれば在日の問題はハズセなかったようですが、なんだか無理やり在日問題を入れたような感じで少々違和感がありました。
安藤サクラは、オペラの歌唱法に果敢に挑戦していて好感。お母さんの安藤和津にソックリだけど美人じゃないだよなぁ。(苦笑) でも、なかなか演技はうまくて良かったです。大竹しのぶや寺島しのぶみたいな路線でいけばいい、この先楽しみな女優の誕生ですね。
チンピラ役の佐々木崇雄は、いい雰囲気を持っているけど今回の役には合ってない感じ。「殺気」がどうも感じられない。
北村一輝や夏木マリはさすがの存在感で、彼ら登場すると画面が引き締まります。
奥田監督の前作「長い散歩」ほど心に響くものが無かったですが、秀作と言っていいと思います。
本作では敢えて大団円を用意せず、爽やかな青春映画路線を生真面目に狙った風で、それも良し。小説や特に漫画を原作にした映画ばかりの中、オリジナル脚本で勝負している奥田監督の姿勢、心意気に頭が下がるし今後も応援したいですね。
しっかり青春映画しています : 妄想少女オタク系(DVD)
2008/5/20 一色町民ベスト22レビュアー
少女コミックを映画化した青春ラブ・コメディですが、『腐女子(美少年の同性愛大好き少女)』を真正面から描いた映画なんて、初めてかも。
同性愛を描いた映画はずいぶんありますが、ボーイズラブ好きの腐女子ちゃんが主人公の青春映画というヒネリ、腐女子に振り回されるノーマルな男子というのが面白いですね。普通逆のパターンなわけですが、しっかり青春映画、ラブコメ映画しているのがいいです。
監督の堀禎一は、ピンク映画出身とのことですが、ギリギリの低予算が伺えるミニマムな画面作りの中で、学園生活の躍動感と出演者自身の魅力という、青春ラブコメを支える二つの柱を着実に表現した点がなにより素晴らしい。撮影コストをかけずに画面外の広がりや世界観を再現してしまう超省予算テクニックは、その経験が生み出したものでしょう。
男の子に直接的な恋愛感情は持てないが、親友同士の千葉君と阿部君ができていると勝手に思い込んで、ウットリしてしまう主人公の浅井留美を演じた甲斐麻美は、「魔法戦隊マジレンジャー」に出てた娘らしいですが、メガネっ娘でアナクロなおさげ髪も似合う。ちょっと萌えな感じがピッタリでした。
同性愛を描いた映画はずいぶんありますが、ボーイズラブ好きの腐女子ちゃんが主人公の青春映画というヒネリ、腐女子に振り回されるノーマルな男子というのが面白いですね。普通逆のパターンなわけですが、しっかり青春映画、ラブコメ映画しているのがいいです。
監督の堀禎一は、ピンク映画出身とのことですが、ギリギリの低予算が伺えるミニマムな画面作りの中で、学園生活の躍動感と出演者自身の魅力という、青春ラブコメを支える二つの柱を着実に表現した点がなにより素晴らしい。撮影コストをかけずに画面外の広がりや世界観を再現してしまう超省予算テクニックは、その経験が生み出したものでしょう。
男の子に直接的な恋愛感情は持てないが、親友同士の千葉君と阿部君ができていると勝手に思い込んで、ウットリしてしまう主人公の浅井留美を演じた甲斐麻美は、「魔法戦隊マジレンジャー」に出てた娘らしいですが、メガネっ娘でアナクロなおさげ髪も似合う。ちょっと萌えな感じがピッタリでした。
バカ映画の皮をかぶった青春映画 : ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ(DVD)
2008/5/20 一色町民ベスト22レビュアー
冒頭から、ワクワク・ドキドキ感全開! 江戸時代のセットに高校生、それにチェーンソーを振り回す黒頭巾の大男。テロップの字体も時代劇調でこれはオバカ映画に違いないと、変な期待も高まる!!(笑)
ストーリーは単純(哀しい物語が隠されているが)で、とにかく謎のチェーンソー男と闘う謎の美少女に、なぜか巻き込まれるちょっと間抜けな高校生の物語。でもこれが、アクション・ホラー映画の皮をかぶったバカ映画ではなく、バカ映画の皮をかぶった青春映画でした。
また、オバカな雰囲気の映画の中でも、個人面談で担任(板尾創路)が言う。「お前らは頭がいい。反抗しようとしない。反抗したって変わらないことを知っている」と、当代若者気質を言い当てるシリアスなシーンも用意されています。それを認めるか否かではないのですがね。オジサンには結構しみる場面でした。(苦笑)
はたしてチェーンソー男とは、二人だけに存在する架空の人物なのか、それとも現実なのか??
チェーンソー男は、狭く捉えれば自殺衝動、広く捉えれば心の弱さ・ネガティブさのメタファーでしょうね。若者が抱えている漠然とした物足りなさや不安、苛立ち、悲しみから抜け出して行く過程がチェーンソー男との戦いに繋がるのかな。
チェーンソー男に負ける=自殺を連想させるシーンもありました。それでも、生きて行かなきゃならないし、人生は続く...。
ともあれ、監督の北村拓司はCM出身らしく映像はユニーク。特に、ワイヤアクションはそれと意識させません。VFXを駆使した映像は、楽しく観れました。
ストーリーは単純(哀しい物語が隠されているが)で、とにかく謎のチェーンソー男と闘う謎の美少女に、なぜか巻き込まれるちょっと間抜けな高校生の物語。でもこれが、アクション・ホラー映画の皮をかぶったバカ映画ではなく、バカ映画の皮をかぶった青春映画でした。
また、オバカな雰囲気の映画の中でも、個人面談で担任(板尾創路)が言う。「お前らは頭がいい。反抗しようとしない。反抗したって変わらないことを知っている」と、当代若者気質を言い当てるシリアスなシーンも用意されています。それを認めるか否かではないのですがね。オジサンには結構しみる場面でした。(苦笑)
はたしてチェーンソー男とは、二人だけに存在する架空の人物なのか、それとも現実なのか??
チェーンソー男は、狭く捉えれば自殺衝動、広く捉えれば心の弱さ・ネガティブさのメタファーでしょうね。若者が抱えている漠然とした物足りなさや不安、苛立ち、悲しみから抜け出して行く過程がチェーンソー男との戦いに繋がるのかな。
チェーンソー男に負ける=自殺を連想させるシーンもありました。それでも、生きて行かなきゃならないし、人生は続く...。
ともあれ、監督の北村拓司はCM出身らしく映像はユニーク。特に、ワイヤアクションはそれと意識させません。VFXを駆使した映像は、楽しく観れました。
ぴたっ、ぴたっとハマっていく伏線が、バツグンに面白かった映画 : 運命じゃない人(DVD)
2008/5/20 風ベスト78レビュアー
「ああ、あの場面の裏では、そういうことが起きていたんだ」とか、「そっかー。あの人とこの人は、そういうふうにつながっていたんだ」とか思ったなあ。虫食い状態で、あちこち欠けていたパズルのピースが、ぴたっ、ぴたっとハマっていく伏線が、バツグンに面白かった映画。
それと、もうひとつ。登場人物同士が、ビリヤードの玉突きのようにつながっていく妙味がありましたね。さっきは脇役だった人物が、しばらくすると、今度はスポットライトが当たって主役になっていて、そこで脇役だった人物が、またしばらくするとスポットライトが当たって主役になっている・・・・・・。そこからあぶり出され、浮かび上がってくる、それぞれの人物の持ち味とからまり具合が、とても面白かった。
ラストは、もっとひねってあってもよかったのではないか。というか、まだまだ話が続いていきそうな、いや、続いていけばいいなあと期待したんだけれど。
話の仕掛け、伏線の張り方など、とても気が利いていて、これはおっもしろいなあと拍手したくなった一本。続編、出てないですよね。見てみたいんだけどなあ。
それと、もうひとつ。登場人物同士が、ビリヤードの玉突きのようにつながっていく妙味がありましたね。さっきは脇役だった人物が、しばらくすると、今度はスポットライトが当たって主役になっていて、そこで脇役だった人物が、またしばらくするとスポットライトが当たって主役になっている・・・・・・。そこからあぶり出され、浮かび上がってくる、それぞれの人物の持ち味とからまり具合が、とても面白かった。
ラストは、もっとひねってあってもよかったのではないか。というか、まだまだ話が続いていきそうな、いや、続いていけばいいなあと期待したんだけれど。
話の仕掛け、伏線の張り方など、とても気が利いていて、これはおっもしろいなあと拍手したくなった一本。続編、出てないですよね。見てみたいんだけどなあ。
すごいぜ、金子監督! 超展開の連続にヘソが茶を沸かす、監督第1作! : 宇能鴻一郎の濡れて打つ(DVD)
2008/5/18 しんのじベスト23レビュアー
“平成ガメラ”“GMK”、そして『デスノート』で知られる金子修介監督の第1作。1984(昭和59)年2月公開。
この映画、なんと55分しかない。これは当時のにっかつ系作品としても、かなり短い部類に入る。この55分間という時間の中に、金子監督はその若き情熱、やりたいことのすべてをぶつけているかのようだ。
テニス(とエッチ)に青春をかけるヒロインの名前はひろみ、彼女のあこがれの存在は、縦巻きカールの“お蝶サマ”(ひろみはちゃんと、ねこ―かわいい!―を飼っている。芸が細かい)。というわけで、一応、芥川賞作家にして官能小説の大家・宇能鴻一郎氏の原作をいただいてはいるものの、これは明らかに『エースをねらえ!』の実写パロというか、濡れ場たっぷりの『月曜ドラマランド』というか。超展開に次ぐ超展開で、ヘソが茶を沸かしている間に終わってしまう。
どっちかというと、みんなで笑いながら劇場で観たいタイプの作品ではある。
それにしても、登場人物のみなさん、エッチに関する考え方があっけらかんとしていて、軽くて明るい。この辺が「80年代だよなぁー」、という感じ。ヒロインを演じる山本奈津子さんは、個人的には当時、そんなにグッとは来なかったのだが(“風祭ゆき派”だったので…)、まさにこのキャラにはジャスト・フィット。そして“お蝶サマ”を演じた林亜里沙さん、濡れ場になるとちょっと大人な感じで、なかなかイケました。
そして、ひろみに恋するオタク少年へのあたたかい視線にも、ちょっと注目。
ピクチャーレーベル、予告編収録。単色4ページの解説書つき。
画質は良好です。
最後に。近年ソフト化されていない、金子監督はじめての一般向け映画『みんなあげちゃう』(原作は弓月光のコミック。脚本は井上敏樹。ウルトラの母も登場!)が気軽に観られる状況になってくれれば、と願っているのですが…。
この映画、なんと55分しかない。これは当時のにっかつ系作品としても、かなり短い部類に入る。この55分間という時間の中に、金子監督はその若き情熱、やりたいことのすべてをぶつけているかのようだ。
テニス(とエッチ)に青春をかけるヒロインの名前はひろみ、彼女のあこがれの存在は、縦巻きカールの“お蝶サマ”(ひろみはちゃんと、ねこ―かわいい!―を飼っている。芸が細かい)。というわけで、一応、芥川賞作家にして官能小説の大家・宇能鴻一郎氏の原作をいただいてはいるものの、これは明らかに『エースをねらえ!』の実写パロというか、濡れ場たっぷりの『月曜ドラマランド』というか。超展開に次ぐ超展開で、ヘソが茶を沸かしている間に終わってしまう。
どっちかというと、みんなで笑いながら劇場で観たいタイプの作品ではある。
それにしても、登場人物のみなさん、エッチに関する考え方があっけらかんとしていて、軽くて明るい。この辺が「80年代だよなぁー」、という感じ。ヒロインを演じる山本奈津子さんは、個人的には当時、そんなにグッとは来なかったのだが(“風祭ゆき派”だったので…)、まさにこのキャラにはジャスト・フィット。そして“お蝶サマ”を演じた林亜里沙さん、濡れ場になるとちょっと大人な感じで、なかなかイケました。
そして、ひろみに恋するオタク少年へのあたたかい視線にも、ちょっと注目。
ピクチャーレーベル、予告編収録。単色4ページの解説書つき。
画質は良好です。
最後に。近年ソフト化されていない、金子監督はじめての一般向け映画『みんなあげちゃう』(原作は弓月光のコミック。脚本は井上敏樹。ウルトラの母も登場!)が気軽に観られる状況になってくれれば、と願っているのですが…。
話と画面の強さとは : 雨月物語(DVD)
2008/5/13 くにたち蟄居日記ベスト32レビュアー
この映画を見ていると 本当に溜息が出てくる。今の邦画はこんな映画を作ることはできないに違いないと思ってしまって。
とにかく美しい映画だ。その美しさは 単なる映像美には終わらず 原作を踏まえた不気味さに満ちている。
雨月物語という怪異譚を扱った いわばホラー映画であると乱暴に言いきってしまうことも出来るわけだが そんな分類分けの意味も感じさせないほどの格調である。
海外で溝口という名前が名高いのもよくわかる。実際 この頃のクロサワやミゾグチの映画は どの国の人が見ても 面白いに違いないと思う。それは単なる日本趣味にはとどまらない普遍性を獲得しているからだ。邦画にそんな時代があったことを誇りに思う一方 今の日本には かような人材がいないような気がしてならない。
映画というものは変わった。SFXに代表される 今の映画の撮影技術の進歩はすさまじい。但し 技術に溺れて 小手先で終わっている映画が実に多いと思う。これは邦画だけではなく 特にハリウッドの作品に強く感じる。
要は 脚本が練られておらず 弱い脚本を強い画面で補っているにすぎないと思うのだ。それに比べると 本作は 脚本も画面も本当に強い。この強靭さを愛でると共に 現代の映像作家にも 同様の才気を求めてしまうのだ。
とにかく美しい映画だ。その美しさは 単なる映像美には終わらず 原作を踏まえた不気味さに満ちている。
雨月物語という怪異譚を扱った いわばホラー映画であると乱暴に言いきってしまうことも出来るわけだが そんな分類分けの意味も感じさせないほどの格調である。
海外で溝口という名前が名高いのもよくわかる。実際 この頃のクロサワやミゾグチの映画は どの国の人が見ても 面白いに違いないと思う。それは単なる日本趣味にはとどまらない普遍性を獲得しているからだ。邦画にそんな時代があったことを誇りに思う一方 今の日本には かような人材がいないような気がしてならない。
映画というものは変わった。SFXに代表される 今の映画の撮影技術の進歩はすさまじい。但し 技術に溺れて 小手先で終わっている映画が実に多いと思う。これは邦画だけではなく 特にハリウッドの作品に強く感じる。
要は 脚本が練られておらず 弱い脚本を強い画面で補っているにすぎないと思うのだ。それに比べると 本作は 脚本も画面も本当に強い。この強靭さを愛でると共に 現代の映像作家にも 同様の才気を求めてしまうのだ。
個人的には大傑作と言い切りたい。 : 人のセックスを笑うな(DVD)
2008/5/10 hide-bonベスト65レビュアー
どうも、評価が分かれているようだけど、個人的には何度も繰り返し見たくなるような映画的な刺激に満ちた快作。すっとぼけていながら、独特のムードと類まれなユーモアを持ち、観終わった後の浮遊感と心地良さは格別だ。
とにかく、ミディアム・ショットで被写体を凝視する長廻しの、切なさと艶めかしさとリアル感が凄い。永作博美によれば、監督はシーンの撮影が終わった後も、「カット」の声を掛けずにフィルムを廻し続けたと言う。カメラを固定し、即興で演出(演じ)続けたと見間違う、役者たちの生理的なリズムに任せたような感覚。例えば、ひとり部屋で「Angel」を聴きながら自堕落に服を脱ぎ椅子に腰掛ける永作であったり、リトグラフ刷りを黙々と続ける永作と松山ケンイチであったり、あるいは松山に1枚ずつ服を脱がせていく永作や、ベットインをした後ビニルの浮き輪を膨らませる事に興じるふたり、ラブホテルのベット上での何度も何度も繰り返される蒼井優のジャンプに、ラストの校舎の屋上シーンまで、そのワンショット、ワンショットのインパクトの強さと面白さはどうだ!!
どうにも好きになってしまった人を忘れられない、あるいは思慕を抱く人に想いが届かない心の揺れ動きを、映像のリズムで見せ切ってしまった事に感心する。
主演3人の見事なコラボ、中でも永作の、「腑抜けども」とはまるで違う役柄だが、相変わらずの圧倒的存在感が良い。
とにかく、ミディアム・ショットで被写体を凝視する長廻しの、切なさと艶めかしさとリアル感が凄い。永作博美によれば、監督はシーンの撮影が終わった後も、「カット」の声を掛けずにフィルムを廻し続けたと言う。カメラを固定し、即興で演出(演じ)続けたと見間違う、役者たちの生理的なリズムに任せたような感覚。例えば、ひとり部屋で「Angel」を聴きながら自堕落に服を脱ぎ椅子に腰掛ける永作であったり、リトグラフ刷りを黙々と続ける永作と松山ケンイチであったり、あるいは松山に1枚ずつ服を脱がせていく永作や、ベットインをした後ビニルの浮き輪を膨らませる事に興じるふたり、ラブホテルのベット上での何度も何度も繰り返される蒼井優のジャンプに、ラストの校舎の屋上シーンまで、そのワンショット、ワンショットのインパクトの強さと面白さはどうだ!!
どうにも好きになってしまった人を忘れられない、あるいは思慕を抱く人に想いが届かない心の揺れ動きを、映像のリズムで見せ切ってしまった事に感心する。
主演3人の見事なコラボ、中でも永作の、「腑抜けども」とはまるで違う役柄だが、相変わらずの圧倒的存在感が良い。
不思議にゆったりとした時間と空間に入り込んだみたいな : めがね(3枚組)(DVD)
2008/5/10 風ベスト78レビュアー
寄せては返す波のように、不思議にゆったりとした時間と空間に遊んだみたいな気分。ずっと前にどこかに落として、なくしたことさえ忘れていたものを見つけたみたいな、そんな気持ちにもなりました。
青い海が広がる南の島で、民宿(でいいのかな)「ハマダ」の人たちと、話がうまくかみ合わない小林聡美。前半は、彼らのとんちんかんなやり取りに、ぷぷっと吹いたりしながら見ていました。そうした、どこかコミカルな雰囲気がすーっと消えていって、夢まぼろしの蜃気楼めいた風景へと話が入っていく。もたいまさこが漕ぐ自転車が現れるその幻想的なシーンは、かなりのインパクトがあって忘れられないなあ。
忘れられない、印象的なシーンがもうひとつ。小林聡美が、かき氷を食べるシーン。その最初の一口を食べた瞬間の彼女の表情が絶品で、自然と涙がこぼれていました。素晴らしいワン・シーンに、胸がいっぱいになりました。
前作『かもめ食堂』がとてもよくて気に入ったので、同じ荻上(おぎがみ)直子監督の映画ということで、とても期待して見た作品。私は正直、『かもめ食堂』のほうがいいなあと思ったけれど、ハルノサキブレみたいなファンタジックな人物を演じたもたいまさこの不思議キャラ全開ってことでは、こっちのほうが上かもしれない。
画面の中の登場人物が奏でるハーモニー、作品のゆったりとしたたたずまいが、とてもいいんですよね。荻上監督の次の一本、楽しみです。
青い海が広がる南の島で、民宿(でいいのかな)「ハマダ」の人たちと、話がうまくかみ合わない小林聡美。前半は、彼らのとんちんかんなやり取りに、ぷぷっと吹いたりしながら見ていました。そうした、どこかコミカルな雰囲気がすーっと消えていって、夢まぼろしの蜃気楼めいた風景へと話が入っていく。もたいまさこが漕ぐ自転車が現れるその幻想的なシーンは、かなりのインパクトがあって忘れられないなあ。
忘れられない、印象的なシーンがもうひとつ。小林聡美が、かき氷を食べるシーン。その最初の一口を食べた瞬間の彼女の表情が絶品で、自然と涙がこぼれていました。素晴らしいワン・シーンに、胸がいっぱいになりました。
前作『かもめ食堂』がとてもよくて気に入ったので、同じ荻上(おぎがみ)直子監督の映画ということで、とても期待して見た作品。私は正直、『かもめ食堂』のほうがいいなあと思ったけれど、ハルノサキブレみたいなファンタジックな人物を演じたもたいまさこの不思議キャラ全開ってことでは、こっちのほうが上かもしれない。
画面の中の登場人物が奏でるハーモニー、作品のゆったりとしたたたずまいが、とてもいいんですよね。荻上監督の次の一本、楽しみです。
ゆったりとした気分に包まれる、素敵な映画です : かもめ食堂(DVD)
2008/5/10 風ベスト78レビュアー
北欧はフィンランドの港町。その街で「かもめ食堂」を開いた小林聡美の店を、最初は片桐はいりが、次にもたいまさこが手伝うようになります。ソロだった音楽がデュエットになり、いつの間にかトリオになって、静かだけれど凛とした調べを奏でている、みたいな・・・。そんなハーモニー、生まれてくる三人の雰囲気、異国の食堂として次第に馴染んでくるお店の雰囲気が、とてもとてもよかったです。
不思議に心地よく、リラックスしたたたずまいの音楽が、またいいんですよね。ゆったりとしたフィンランドの空気にしっくり溶け込んでいる、そんな音楽による作品との絶妙なブレンド。美味いコーヒーのような、静かな風味の中に、深みとコクのある味わいをたたえているみたいな。見ている間、「この作品のたたずまい、空気感はいいなあ」と、心からくつろぐことができました。
そうそう、いくつかのシーンで、しゃけとおかかとこんぶのおにぎりを食べたくなったなあ。「おにぎりは、日本のソウル・フード」って台詞に、確かにそうだよなあ、うんうんとうなずいておりました。
見終えて、また最初からのんびり、ゆっくりと見返したくなった映画。私の心のツボのど真ん中にすこーんと、乾いたいい響きを立てて収まった一本。これはもう、すっかり気に入ってしまった。
不思議に心地よく、リラックスしたたたずまいの音楽が、またいいんですよね。ゆったりとしたフィンランドの空気にしっくり溶け込んでいる、そんな音楽による作品との絶妙なブレンド。美味いコーヒーのような、静かな風味の中に、深みとコクのある味わいをたたえているみたいな。見ている間、「この作品のたたずまい、空気感はいいなあ」と、心からくつろぐことができました。
そうそう、いくつかのシーンで、しゃけとおかかとこんぶのおにぎりを食べたくなったなあ。「おにぎりは、日本のソウル・フード」って台詞に、確かにそうだよなあ、うんうんとうなずいておりました。
見終えて、また最初からのんびり、ゆっくりと見返したくなった映画。私の心のツボのど真ん中にすこーんと、乾いたいい響きを立てて収まった一本。これはもう、すっかり気に入ってしまった。
元気をくれる映画。田舎の高校生たちの生き生きとした姿もナイス! : スウィングガールズ スタンダード・エディション(DVD)
2008/5/10 風ベスト78レビュアー
緑の自然に囲まれた東北の田舎を舞台に、ビッグ・バンド・ミュージックの楽しさに目覚めた女子高生たちとひとりの男子高生の青春の一こまを描いた映画。サックス、トロンボーン、トランペット、ドラムス、ギターにピアノのと、それぞれの楽器を手にして、みんなで合奏する彼ら高校生たちの生き生きとした姿を見ているうちに、こちらも楽しい気分になってきました。
下手っぴいだったコーラスがあれよあれよと上手くなっていく修道女映画(?)『天使にラブ・ソングを・・・』に通じる雰囲気があったかなあ。最初は全然ダメでもあきらめないで、みんなで練習して上手くなっていく様子見てたら、元気が出てきたんですよね。高校時代の部活のこととか思い出したりもして、なつかしい気持ちもこみ上げてきました。
「だべず」とか、語尾にその地方独特の言葉が付く方言が、都会の空気に染まっていない田舎の人間味を感じさせて、いい味を出していましたね。
いい味出してたと言えばこの人、竹中直人演じる数学教師。大好きなジャズのレコードを取り上げて、生徒たちに講釈をぶつシーン。会場で指揮棒を振るシーン。彼のユニークなキャラクターと妙にハマっていて、独特のオーラが出ていていいなあと。クスリとしちゃったな。
「スウィングガールズ」たちのなかでは、トランペット・ソロを吹いていた女の子が特によかった。何かに夢中になっていく姿と、天真爛漫、くよくよしない明るいキャラとがマッチングして、一番スウイングしているように見えました。
下手っぴいだったコーラスがあれよあれよと上手くなっていく修道女映画(?)『天使にラブ・ソングを・・・』に通じる雰囲気があったかなあ。最初は全然ダメでもあきらめないで、みんなで練習して上手くなっていく様子見てたら、元気が出てきたんですよね。高校時代の部活のこととか思い出したりもして、なつかしい気持ちもこみ上げてきました。
「だべず」とか、語尾にその地方独特の言葉が付く方言が、都会の空気に染まっていない田舎の人間味を感じさせて、いい味を出していましたね。
いい味出してたと言えばこの人、竹中直人演じる数学教師。大好きなジャズのレコードを取り上げて、生徒たちに講釈をぶつシーン。会場で指揮棒を振るシーン。彼のユニークなキャラクターと妙にハマっていて、独特のオーラが出ていていいなあと。クスリとしちゃったな。
「スウィングガールズ」たちのなかでは、トランペット・ソロを吹いていた女の子が特によかった。何かに夢中になっていく姿と、天真爛漫、くよくよしない明るいキャラとがマッチングして、一番スウイングしているように見えました。
ダンスに夢中になっていく主人公の生き生きとした様子が、とてもいい : Shall We ダンス? (初回限定版)(DVD)
2008/5/8 風ベスト78レビュアー
本気で夢中になれるものを見つけ、それに打ち込んでいる時、人は生き生きとして輝いているのですね。この映画の主人公、会社勤めのサラリーマン課長、杉山がダンスに魅せられていく姿を見ていて、それがよく伝わってきました。
主人公・杉山を演じているのが、役所広司。実直で真面目なサラリーマン(妻と娘のいるマイホーム・パパ)が、次第にダンスに夢中になっていく様子を丁寧に演じて、好感が持てます。最近、立て続けに役所広司が出ている映画を見たんだけれど(『それでもボクはやってない』『笑の大学』、そして本作品)、どれも心憎い演技をするなあと感心させられました。
この杉山の会社の同僚・青木を演じた竹中直人も、強烈なオーラを放って印象に残りましたね。とりわけ、会社の廊下を曲がる時、無意識にダンス・ウォークしてしまうところのわざとらしい演技に大ウケ。ラテンの血を前面に押し出した、アクの強いダンスぶりも、「やるもんだなあ>竹中直人」て感じで、心の中で、拍手しながら見ていました(笑)
ラストのわくわく、はらはらの期待感も忘れられないけれど、思わず涙が出てきて止まらなくなったのは、ある夫婦が家の庭に出て、ぎこちなくダンスをする場面。ハートフル、ワンダフルな、とびっきり素敵なワン・シーン。心を揺さぶられました。
主人公・杉山を演じているのが、役所広司。実直で真面目なサラリーマン(妻と娘のいるマイホーム・パパ)が、次第にダンスに夢中になっていく様子を丁寧に演じて、好感が持てます。最近、立て続けに役所広司が出ている映画を見たんだけれど(『それでもボクはやってない』『笑の大学』、そして本作品)、どれも心憎い演技をするなあと感心させられました。
この杉山の会社の同僚・青木を演じた竹中直人も、強烈なオーラを放って印象に残りましたね。とりわけ、会社の廊下を曲がる時、無意識にダンス・ウォークしてしまうところのわざとらしい演技に大ウケ。ラテンの血を前面に押し出した、アクの強いダンスぶりも、「やるもんだなあ>竹中直人」て感じで、心の中で、拍手しながら見ていました(笑)
ラストのわくわく、はらはらの期待感も忘れられないけれど、思わず涙が出てきて止まらなくなったのは、ある夫婦が家の庭に出て、ぎこちなくダンスをする場面。ハートフル、ワンダフルな、とびっきり素敵なワン・シーン。心を揺さぶられました。
女性だからこその「サバイブ」 : サバイブ(DVD)
2008/5/6 3.14カラットのダイアモンドベスト13レビュアー
『潜伏-Hidden-』では、miko がホテルの部屋から出てところでオートロックがかかってしまう。普通だったらフロントに行けばいいだけのことだが、その時の彼女は全裸にバスローブを羽織っていただけなので、誰にも助けを求められない。それをどう切り抜けるか、まさに女性だからこその「サバイブ」である。しかし、男女関係のほつれがストーリーに絡まっているので、その状況からの「サバイブ」感がイマイチである。
『Hunger』では、のはら歩が人気のない山小屋の中で片手を吊られてしまう。その格好のままショーツ一枚までになる過程に必然性はあるが、服を着ていたとしても十分「サバイブ」な状態なので、裸になってしまったことの意味合いが薄れている。
もっと純粋に、女性が裸になったからこその「サバイブ」を描き出して欲しい。
ちなみに、miko ファンなので購入したが、彼女のヌードを堪能すると言う点においては満足のいく作品である。
『Hunger』では、のはら歩が人気のない山小屋の中で片手を吊られてしまう。その格好のままショーツ一枚までになる過程に必然性はあるが、服を着ていたとしても十分「サバイブ」な状態なので、裸になってしまったことの意味合いが薄れている。
もっと純粋に、女性が裸になったからこその「サバイブ」を描き出して欲しい。
ちなみに、miko ファンなので購入したが、彼女のヌードを堪能すると言う点においては満足のいく作品である。
なぜこれは輸出用のDVDが作られていないのでしょう? : 古都(DVD)
2008/5/6 recluseベスト66レビュアー
これは素晴らしい映画です。今まで知らなかったのが残念なくらいです。この作品は変貌する前の京都(新幹線ができる直前の昭和37-38年)と初期の岩下志麻という二つの偶然がもたらした僥倖としか言いようがありません。京都の町の瓦屋根を上から移した最初のシーンから観客の眼を釘付けにしてしまいます。この統一性と秩序はもうこの世には存在しません。そして京都のシーンがこれでもかというくらいに描写されていきます。それと対比される形で浮かび上がるのが北山の森のシーンです。ここでは京都の背後の自然が見事な陰影の下で描かれます。岩下志麻の一人二役もお化粧を含めて見事な演技力でこの双子の生い立ちの違いがもたらしたパーソナリティの違いを演じています。そして最後に武満の音楽です。この音楽は現代音楽でありながら、部外者にはうかがい知れない京都の闇を強調するようにドラマのサスペンスを盛り上げていきます。ストーリーは春から夏、秋、そして最後の冬へと、京都の四季風物を紹介しながら、物語の展開と見事に対を成しています。雪が積もった朝の最後の別れのシーンは時が生み出した埋めることのできない隔たりを強調する形で締めくくられています。滅びへの無意識の予感こそ、この作品を生み出した原動力だったのでしょう。
着物っていいですね : 細雪(DVD)
2008/4/29 recluseベスト66レビュアー
原作自体が確固たるストーリーがない作品ですので、映像はいい手段です。むしろ映像こそ、この作品の本質を余計な説明なしに見事に提示するものなのかもしれません。原作には相当忠実に作られています。ただし時間は一年という短い時間に凝縮されています。その中ですべての季節、桜と紅葉と雪が現れます。原作の最後のシーンでは、どうしても映画の結末としてはおさまりが悪かったのでしょう。結果として、原作には存在しない男女間の陰影のシーンがいくつか付け加えられています。この部分は余計な部分でしょう。そこまでして無理にストーリーの展開を作る必要はあったのでしょうか。もうひとつ、女優だけではなく男性陣(サリーとエモヤンをのぞくと)にも関西弁を母国語とするものはいないようで、関西弁の会話の部分は、どうしても力みすぎて硬さと動作のぎこちなさが残ります。そして忘れてはならないのは、全編を通して主役でもある着物です。さまざまな種類と色彩の着物が、それぞれのシーンのモティーフに合わせて登場し、私のような無知なものにも十分にその魅力を伝えてくれます。ヘンデルの音楽がバックに流れ、作品全体としては素晴らしい仕上がりです。もうこのような作品が作られることはないのでしょうか?
1977年。こんな恋はなかったけど、太郎はまるでオレのようだった(外見は別)。 : Little DJ 小さな恋の物語(DVD)
2008/4/27 しんのじベスト23レビュアー
公開当時から「韓流っぽい」だの「セカチューくさい」だの、まぁいろいろ言われていたようですが、劇場で観たオレは、別にそんなことを思うこともなく、この物語の世界へと素直に入り込むことができました。
いくら言葉をつくしても、この映画の魅力は語りきれない気がします。
ひとつだけ言わせてもらうと、キャンディーズは“反則”だろう、と。
でもそれは、実に素晴らしい“反則”でした。
「DVDが出たら、絶対買おう!」と思わせるほどに。
それはともかく、なんといっても“1977(昭和52)年、中1だった”といえば、それはまさにオレ。
もちろんこの映画の主人公・太郎とは、違うことだらけだったけど(好きだったラジオも、鶴光オールナイトとかで…)、それでもいろんなところが、あの頃のオレといっしょだったんですよ、太郎は。
そんな《普通の男の子》が、いっしょうけんめいに生きようとしたその姿を、どうか観てやってほしいと思います。
きっとあなたの胸に、忘れられない“なにか”を残してくれることでしょう。
パッケージ的には、トールケースの色が普通の黒だったのが残念(なんとなくクリア、それも水色のイメージだったので…)。
映像特典の分量は少ないけれど、それなりに楽しめます(神木君がメインですが、若先生役の佐藤重幸[現・戸次重幸]さんのファンの方も一見の価値あり)。
いくら言葉をつくしても、この映画の魅力は語りきれない気がします。
ひとつだけ言わせてもらうと、キャンディーズは“反則”だろう、と。
でもそれは、実に素晴らしい“反則”でした。
「DVDが出たら、絶対買おう!」と思わせるほどに。
それはともかく、なんといっても“1977(昭和52)年、中1だった”といえば、それはまさにオレ。
もちろんこの映画の主人公・太郎とは、違うことだらけだったけど(好きだったラジオも、鶴光オールナイトとかで…)、それでもいろんなところが、あの頃のオレといっしょだったんですよ、太郎は。
そんな《普通の男の子》が、いっしょうけんめいに生きようとしたその姿を、どうか観てやってほしいと思います。
きっとあなたの胸に、忘れられない“なにか”を残してくれることでしょう。
パッケージ的には、トールケースの色が普通の黒だったのが残念(なんとなくクリア、それも水色のイメージだったので…)。
映像特典の分量は少ないけれど、それなりに楽しめます(神木君がメインですが、若先生役の佐藤重幸[現・戸次重幸]さんのファンの方も一見の価値あり)。
この、ゆるさが最高!! : 転々 プレミアム・エディション(DVD)
2008/4/2 一色町民ベスト22レビュアー
「時効警察」シリーズの三木聡監督が藤田宜永の同名小説を基に、冴えない男二人の悲喜こもごもなヘンテコ“東京散歩”を、お約束の小ネタを盛り込みつつしみじみとしたタッチで描いた人情コメディです。
まず、借金取立て屋の福原を演じる三浦友和がいい。文哉(オダギリ・ジョー)の口に自分の靴下をつっこむ拷問ふう荒技からしておかしい。個性派役者になってきましたね。
二人で東京散歩することになって、ここでやっとこの映画のタイトルバックが出ます。商店街を二人が歩くだけのワンカット長回しなんですが、これが秀逸!!
「時効警察」の三日月くん(麻生久美子)がカメオ出演したり、石原良純の意外な登場もあったりします。また、コメディリリーフには、三木聡監督作には欠かせない岩松了、ふせえりのコンビ。そこに松重豊が加わったトリオで、ゆる〜い笑いを巻き起こす。(笑) 頭のつむじが崖のニオイ(どんな臭いだ??)とか、「岸部一徳に会うと、いいことがある」という訳の分からないジンクス説を唱えたり、岸部一徳が本人役で何度か登場するのも可笑しい。
福原が結婚式のバイトで疑似夫婦を演じた麻紀子(小泉今日子)の家での展開が傑作。男二人が転がり込んでいた麻紀子の家に、彼女の姪(吉高由里子)がやって来たことから、彼らは擬似家族を演じることになる。小泉今日子はここでも、ふんわり、ほんわかと生きているような女性を軽やかに演じ、いい味出してます。
また、散歩の最後が迫り、浅草の「花やしき」のローラーコースターの場面は、じんわりと心に染みた。女2人が見守っているのもシチュエーションとして良かった。
そして、二人が共に散歩した濃厚な時間が唐突に終わるラストの潔さは秀逸でした。かえって余韻が残るような印象でした。
まず、借金取立て屋の福原を演じる三浦友和がいい。文哉(オダギリ・ジョー)の口に自分の靴下をつっこむ拷問ふう荒技からしておかしい。個性派役者になってきましたね。
二人で東京散歩することになって、ここでやっとこの映画のタイトルバックが出ます。商店街を二人が歩くだけのワンカット長回しなんですが、これが秀逸!!
「時効警察」の三日月くん(麻生久美子)がカメオ出演したり、石原良純の意外な登場もあったりします。また、コメディリリーフには、三木聡監督作には欠かせない岩松了、ふせえりのコンビ。そこに松重豊が加わったトリオで、ゆる〜い笑いを巻き起こす。(笑) 頭のつむじが崖のニオイ(どんな臭いだ??)とか、「岸部一徳に会うと、いいことがある」という訳の分からないジンクス説を唱えたり、岸部一徳が本人役で何度か登場するのも可笑しい。
福原が結婚式のバイトで疑似夫婦を演じた麻紀子(小泉今日子)の家での展開が傑作。男二人が転がり込んでいた麻紀子の家に、彼女の姪(吉高由里子)がやって来たことから、彼らは擬似家族を演じることになる。小泉今日子はここでも、ふんわり、ほんわかと生きているような女性を軽やかに演じ、いい味出してます。
また、散歩の最後が迫り、浅草の「花やしき」のローラーコースターの場面は、じんわりと心に染みた。女2人が見守っているのもシチュエーションとして良かった。
そして、二人が共に散歩した濃厚な時間が唐突に終わるラストの潔さは秀逸でした。かえって余韻が残るような印象でした。
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